「ワコール」のロゴ・ロゴマークの変遷

婦人下着のトップメーカーである「ワコール(wacoal)」のロゴ・ロゴマークの変遷について解説します。

ワコールとロゴ(Ⅰ)-社名の由来-

ワコールは、1946年、第二次世界大戦から無事生還した塚本幸一が「和光商事」として創業しました。

幸一にとって、“生かされた生命”として、荒廃した日本を再建する一助となることを決意しての創業でした。

和光商事という社名は、戦死した父、粂次郎(くめじろう)の郷里であった滋賀県の別称「江州」にちなみ、「江州に和す」という意味が込められていました。

また、自らの戦争体験を踏まえて、社名には、「揚子江の河岸に和を契り合った戦友たち」という意味も込めました。

さらに、1949年、「和江商事株式会社」の設立時には、「江」=大きな河の流れを世界のファッションの潮流に見立て、その一番大きな流れに和(ハーモニー)するという意味も重ねました。

和光商事のロゴマーク
出典:wacoalholdings.jp

ワコールとロゴ(Ⅱ)-婦人下着メーカーへの転身-

日本に急速な欧米化の波が押し寄せ、女性のファッションも、それまでの和装から、洋装が中心になりつつありました。

和光商事も、ネックレスやヘアークリップといった、女性の装身具や雑貨の卸・販売を中心におこなっていました。

1949年、バストを形良く見せる『ブラパット』の取り扱いを始めたことがきっかけとなり、幸一は大きな転機を迎えました。

また、アメリカの通信販売カタログを目にしたことで、女性下着の市場の大きさを察知した幸一は、本格的な婦人洋装下着メーカーとしての再出発を決意しました。

こうして、「和光商事」は、自社製の下着の開発に着手していくことになりました。

ワコールとロゴ(Ⅲ)-ワコールのロゴの変遷-

和光商事は、創業時から「クローバー」をロゴマークとして採用していましたが、商標の問題で使用できなくなりました。

和光商事の「クローバー」ロゴマーク
出典:wacoalholdings.jp

幸一は、和幸を新商標に織り込むアイデアを発想しました。「和光の名を永遠に留める」という目的から、英語風に表現して、「ワコール(WACOAL)」としました。

ワコールのロゴマーク(1953-1957)
出典:wacoalholdings.jp

1957年、社名もワコールに改称しました。

ワコールのロゴマーク(1958-1961)
出典:wacoalholdings.jp

ワコールのロゴマーク(1962-1963)
出典:wacoalholdings.jp

ワコールのロゴマーク(1964-1978年)
出典:wacoalholdings.jp

旧マークは、「クローバーマーク」を併記したものでしたが、1979年、世界企業への飛躍を願い、「ファッションフラワー」と呼ばれる現在のロゴが制定されました。

「ファッションフラワー」ロゴマーク
出典:wacoalholdings.jp

花開く未来を象徴したこのマークは、社名の頭文字「W」をデザインしたものでした。

ワコールとロゴ(Ⅳ)-ワコールの名を世界に広めた商品「タミーガードル」-

1965年に発売した「タミーガードル」は、1959年にアメリカで発表された伸縮性のある弾性繊維スパンデックスを、おなか部分に応用したガードルでした。

ワコールのタミーガードル
出典:wacoalholdings.jp

おなかを無理なくおさえながら、楽に着用できるガードルとして、絶大な人気を博しました。

タミーガードルは、世界13カ国で特許権を取得した、いわゆる「国際特許」として認められた第1号でした。

ワコールとロゴ(Ⅴ)-ワコールの名を世界に広めた商品「フロントホックブラ」-

1970年代当時、ワコールの新商品であった「ガードル」のポスター撮影の際、カメラマンから「バックショットのガードルを綺麗に見せるために、ブラジャーのホックをなくしてくれ」という要請が入りました。

当時の担当者は、大慌てで後ろのホックをなくし、前にホックのあるブラジャーを撮影用に一つだけ作りました。こうして、新型「ガードル」のポスターは完成しました。

ところが、ポスターが店頭に飾られると、一般客の女性から「あのブラジャーはどこで売っているの?」と予想外の大評判になりました。

それを受けて、ワコールは改良を施し、1978年、正式に「プリリブラ・フロントホック」として発売しました。「プリリブラ・フロントホック」は、年間280万枚を売り上げる大ヒット商品となりました。

ワコールのプリリブラ・フロントホック
出典:wacoal.jp

[参考書籍]

1)本間之英「図解 誰かに話したくなる社名・ロゴマークの秘密Ⅱ」<GAKKEN>

2)成美堂編集部編「日本のロゴ シンボルマークとしての由来と変遷」<成美堂出版>

3)https://www.wacoalholdings.jp/