「資生堂」 ロゴ・ロゴマークの変遷

化粧品の製造・販売で有名な日本の企業「資生堂」のロゴ・ロゴマークの変遷について解説します。

資生堂とロゴ(Ⅰ)-資生堂の創業-

資生堂は、漢方薬が主流の時代にあって、日本初の洋風調剤薬局として、1872年に東京・銀座で創業しました。

創業者の福原有信(ありのぶ)は、元々は海軍病院の薬局長でしたが、その官職を辞して、資生堂を創業しました。

資生堂創業者、福原有信
出典:newswitch.jp

有信は23歳という若さながら、世間に粗悪な薬品が出回っていることを憂い、西洋薬学から生まれた高品質の薬品を、従来とは一線を画す手法で販売することを目指しました。

資生堂とロゴ(Ⅱ)-資生堂の社名の由来-

社名である資生堂の由来は、中国の古典「易経(えききょう)」の一文「至哉坤元 万物資生(※)(いたるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」から採用されています。

(※)「至哉坤元 万物資生」とは、「地の徳のなんと素晴らしいことか、万物はこの大地より生ずる」という意味になります。

資生堂とロゴ(Ⅲ)-歯磨事業から化粧品事業への進出-

資生堂の商品の原点は、有信が1888年に売り出した日本初の練り歯磨「福原衛星歯磨石鹸」です。

日本初の練り歯磨、福原衛星歯磨石鹸
出典:corp.shiseido.com

江戸初期の1643年に日本で初めて歯磨が発売されて以降、日本の歯磨は粉の歯磨が主流でした。そのたえめ、粒子が粗く、磨くと逆に歯茎を傷つけることもあり、実用性がありませんでした。

やがて、1872年に西洋歯磨が日本に入ってくることになり、それを初めて国産化したのが資生堂でした。

資生堂の歯磨石鹸は、滑らかで歯を傷める心配もなく、歯の汚れや口臭を科学的に除去し、使用感も今までになく斬新なものでした。

そのため、当時主流だった粉歯磨きの約10倍もする高額な品物にも関わらず、売れ行きは上々でした。

また、粉のように飛び散って周りを汚すこともないため、海軍でもさかんに使われました。

その後、資生堂は、1897年に化粧品事業へと進出しました。

資生堂とロゴ(Ⅳ)-ロゴマーク(花椿マーク)の変遷-

1915年、有信の息子である福原信三(しんぞう)が資生堂初代社長に就任しました。信三は、独自の美意識を発揮し、資生堂の発展を導きました。

同年、事業の主体を化粧品に移行した資生堂は、花椿マークを制定し、その後の資生堂のデザインの原点となりました。

資生堂の初代ロゴ(1915年)
出典:corp.shiseido.com

花椿マークの原型は、信三自らが筆をとり、描いたものでした。

椿が選ばれたのは、当時、資生堂の香油「花つばき」の人気が高く、椿の花の清楚で優雅な美しさが顧客にも親しまれていたからでした。

「花椿マーク」は、その後、幾度かの変遷をたどります。

資生堂の2代目ロゴ(1916年)
出典:corp.shiseido.com

資生堂の3代目ロゴ(1917年)
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資生堂の4代目ロゴ(1918年)
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資生堂の5代目ロゴ(1921年)
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やがて、当初9枚だった葉が7枚になり、1974年に現在のマークが誕生しています。

資生堂の6代目ロゴ(1974年~現在)
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1916年、信三は現在の宣伝部の前身である「意匠部」を社内に創設しました。この意匠部で、ロゴマークを始め、あらゆるデザインを制作していくことになりました。

資生堂とロゴ(Ⅴ)-和文ロゴの変遷-

1923年になると、初代社長・信三の「店文字をつくろう」というひとことから、明朝体活字で表記してきた社名を、資生堂の企業像にふさわしい特定の書体に変えようとする試みがなされました。

1923年になると、初代社長・信三の「店文字をつくろう」というひとことから、明朝体活字で表記してきた社名を、資生堂の企業像にふさわしい特定の書体に変えようとする試みがなされました。

資生堂の和文ロゴ(1923年)
出典:corp.shiseido.com

資生堂の和文ロゴ(1926年)
出典:corp.shiseido.com

当時の意匠部員らが、複数の中国古典に書かれていた書体を参考に「宋朝風書体」が考案され、幾度かの改良と修正の後、1927年に資生堂和文書体が完成しました。

資生堂の和文ロゴ(1927年)
出典:corp.shiseido.com

この書体は、資生堂のコーポレートアイデンティティーの表象として大きな役割を果たしました。

資生堂の和文ロゴ(1974年)
出典:corp.shiseido.com

現在の資生堂の和文ロゴ(2010年)
出典:corp.shiseido.com

現在でも、資生堂に入社した新人デザイナーは、この書体が手書きで自在に描けるようになるまで徹底的に練習するといいます。

それほど、資生堂のデザインにとって重要な要素となっています。

資生堂とロゴ(Ⅵ)-欧文ロゴの変遷-

資生堂のロゴの中で、最も馴染みのあるものが欧文ロゴです。資生堂の欧文ロゴの最大の特徴は、2カ所で用いられる斜体の「S」です。

当初は、意匠部員らによって、欧文ロゴで様々な書体が用いられました。

資生堂の欧文ロゴ(1924年)
出典:
nostos.jp

2つの「S」のみを斜体で表記するロゴは、1924年の暮に使用した贈答用品の包装紙にて、初めて使用されました。

資生堂の欧文ロゴ②(1924年)
出典:
nostos.jp

その後、欧文ロゴは変遷を繰り返しました。

資生堂の欧文ロゴ(1926年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ②(1926年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ③(1926年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ(1927年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ②(1927年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ(1928年)
出典:
nostos.jp

資生堂の欧文ロゴ②(1928年)
出典:
nostos.jp

その後、1974年より、現在の欧文ロゴの書体に落ち着きました。

資生堂の欧文ロゴ(1974年)
出典:corp.shiseido.com

〔参考書籍〕

1)本間之英「図解 誰かに話したくなる社名・ロゴマークの秘密Ⅱ」<GAKKEN>

2)成美堂編集部編「日本のロゴ シンボルマークとしての由来と変遷」<成美堂出版>

3)https://corp.shiseido.com/jp/